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放送禁止歌について

 

2015.5.16

 

 

 NHK籾井会長の行動、「クローズアップ現代」やテレ朝の「報道ステーション」問題を受けて、「放送法」にいう「不偏不党」が、報道の自由、表現の自由との関連で大きな話題になっている。

 

 一方、これに関連して、歌曲による音楽表現における、いわゆる「放送禁止歌」の問題がある(昨年暮れの「紅白」におけるサザンオールスターズの「ピースとハイライト」騒ぎを思い起こしてみよう)。

 

 憲法21条表現の自由の観点から、法律や条例によって音楽表現を規制することはできないことから、法令上、「放送禁止歌」=要注意歌謡曲の指定制度そのものは現在存在しない(1983年廃止)。

 

 しかし、例えば「日本民間放送連盟放送基準」の「放送音楽などの取り扱い内規」には、公序良俗に反し、青少年に悪影響を及ぼすと思われる歌謡曲に対しての処置が具体的に記述されており、同様にNHKも何らかの内規があると想像される。

 

 つまり、現在、いわゆる「放送禁止歌」とは、「日本民間放送連盟放送基準」に沿って、放送するのにふさわしくないと放送団体が自主的に判断した歌曲 ( 「自主規制曲」)ということになるのであり、あくまでも判断主体は各放送局ということになる。

 

 公権力がメディアに与える干渉を事前に防ぎ、国民の表現の自 由とその表裏一体の権利である「知る自由」(知る権利)を守るこという観点から、一定の自主規制はやむを得ないと思われるが、価値基準は世の移り変わりと共に変動しうるものであり、いわゆる「放送禁止歌」も時代の変遷につれて変わりうるものである。

 

「日本民間放送連盟放送基準」(http://www.j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032#hk8)の「(付)放送音楽などの取り扱い内規」(ガイドライン)にはこう定めている(最終改正 2004(平成16)年1月)。

 

Ⅰ.放送音楽については、公序良俗に反し、または家庭、特に児童・青少年に好ましくない影響を与えるものを放送に使用することは差し控える。放送に使用することの適否を判断するにあたっては、放送基準各条のほか、次の各号による。

 

1.人種・民族・国民・国家について、その誇りを傷つけるもの、国際親善関係に悪い影響を及ぼすおそれのあるものは使用しない。

2.個人・団体の名誉を傷つけるものは使用しない。

3.人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別するものは使用しない。

4.心身に障害のある人々の感情を傷つけるおそれのあるものは使用しない。また、身体的特徴を表現しているものについても十分注意する。

5.違法・犯罪・暴力などの反社会的な言動を肯定的に取り扱うものは使用しない。特に、麻薬や覚醒剤の使用などの犯罪行為を、魅力的に取り扱うものは使用しない。

6.性に関する表現で、直接、間接を問わず、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせるものは使用しない。

7.表現が暗示的、あるいは曖昧であっても、その意図するところが民放連放送基準に触れるものは使用しない。

8.放送音楽の使用にあたっては、児童・青少年の視聴に十分配慮する。特に暴力・性などに関する表現については、細心の注意が求められる。

 

Ⅱ.(1) 日本民間放送連盟放送基準審議会は内部機構として、民放各社が放送音楽の取り扱いを自主的に判断するうえで参考となる意見を述べるため放送音楽事例研究懇談会を置くことができる。放送音楽事例研究懇談会は、委員(考査責任者または音楽資料責任者)若干名で構成し、アドバイザー(放送基準審議会委員)を置く。

(2) 民放各社は、歌謡曲など特定の曲を放送に使用することの適否について、放送音楽事例研究懇談会の意見を求めることができる。放送音楽事例研究懇談会の意見は民放全社に知らせて、その参考に供する。

(3) 放送音楽事例研究懇談会は、民放各社の自主的判断のため参考になると認める時は、特に意見を求められていない曲についても、その意見を民放全社に知らせることができる。

注記なお、「要注意歌謡曲」の指定制度は1983(昭和58)年に廃止され、要注意の指定から5年を経過するまでの間、経過期間として指定の効力は継続したが、その期間も1987(昭和62)年に満了し、「要注意歌謡曲一覧表」は消滅した。

 

 

 これまでにメディアにおいて「放送禁止歌」に指定された代表的なジャンルを大まかに分けてみると、上の内規と重複するが、

 

(1)イデオロギー(プロテストソング )

(2)人種・性別・職業等での差別表現

(3)心身障害者への差別表現

(4)暴力・犯罪助長表現

(5)性表現(わいせつ表現)

(6)反社会的表現

(7)不快表現

 

などに集約できる。

 

 具体的に使用禁止(自主規制)されたと思われる曲目(50音順)は、次のとおり。

 

愛の床屋 / 唐十郎

I Love Youはひとりごと / 原由子

あこがれの北朝鮮  / ザ・タイ マーズ

網走番外地 / 高倉健

依存症 (発売禁止歌) / 椎名林檎 

五木の子守唄 / 音丸

Imagine / John Lennon

イムジン河 / ザ・フォーク・クルセダーズ

S・O・S / ピンク・レディ

後ろから前から / 畑中葉子

F.F.B. / キングギドラ 

悦楽のブルース / 島和彦

大島節 / 山平和彦

オー脳 / 泉谷しげる

おそうじオバチャン / 憂歌団

Ohio / Neil Young

終らない歌 / ザ・ブルーハーツ

がいこつの唄 / 岡林信康

かごめかごめ / (童謡)

からっぽの世界 / ジャックス

関東流れ者 / 松方弘樹

君が代 / 忌野清志郎

きょうだい心中 / 山崎ハコ

極めつけ!!お万の方 / つボイノリオ

金太の大冒険 / つボイノリオ

くそくらえ節 / 岡林信康

月経 / 山平和彦

原発ジプシー / 加藤登紀子

黒いカバン / 泉谷しげる

コップ・キラー / アイス-T

三億円強盗事件の唄 / 高田渡

山谷ブルース / 岡林信康

自衛隊に入ろう / 高田渡

しおふき小唄 / 窪園千枝子

自動車ショー歌 / 小林旭

支那の夜 / 渡辺はま子

シビレ節 / ハナ肇とクレージーキャッツ

謝肉祭 / 山口百恵

傷痍軍人の歌 / 朴保

娼婦和子 / やしきたかじん

小便だらけの湖 / 三上寛

心中日本 / 長谷川きよし

スキンシップ・ブルース / 高田渡

生活の柄 / 高田渡

世界革命戦争宣言 / 頭脳警察

赤軍兵士の歌 / 頭脳警察

セーラー服を脱がさないで / おニャン子クラブ

戦争小唄 / 泉谷しげる

Darling Nikki / Prince

竹田の子守唄 / 赤い鳥

たべちゃうぞ / ガチャピン

チェルノブイリ / ザ・ブルーハーツ

チューリップのアップリケ / 岡林信康

手紙 / 岡林信康

東京流れもの / 松方弘樹 

通りゃんせ / (童謡)

時には娼婦のように / 黒沢年男

友よ / 岡林信康

ドライブバイ / キングギドラ

NANA / チェッカーズ

名もなき詩  / Mr. Children 

ネリカンブルース / 藤圭子

波止場だよお父つぁん / 美空ひばり

Puff / Peter, Paul & Mary

Have Yoe Ever Seen The Rain? / Creedence Clearwater Revival

悲惨な戦い / なぎら健壱

びっこのもぐらの物語 / ダボーズ

びっこの仔犬 / 加山雄三

びっこの七面鳥 / 美空ひばり

ブスにもブスの生き方がある / まりちゃんズ

府中捕物控 / アルフィー

ブンガチャ節 / 北島三郎

ペニーレインでバーボン / 吉田拓郎

ヘライデ / 岡林信康

放送禁止歌 / 山平和彦

ほたる / (童謡)

ほととぎす / 村上幸子 

街と飛行船 / 六文銭

MILORD / Edith Piaff

夢は夜ひらく / 三上寛

ヨイトマケの唄 / 美輪明宏

Love For Sale / Billie Holiday

ラブ・ミー・テンダー / RC.サクセション(忌野清志郎)

Lucy In The Sky With Diamonds / The Beatles

Let's Spend The Night Together / The Rolling Stones

Wild Thing / Tone-Loc

私たちの望むものは / 岡林信康

 

 

 このほか、福島第一原発事故以前からも、いわゆる反原発ソングが数多く存在するが、いわゆる「放送禁止歌」制度がない現在でも放送されることはまずない現状にある。

(参照)http://ja.wikipedia.org/wiki/原子力発電を主題にした楽曲の一覧

        ♬ The House of the      Rising Sun

        朝日のあたる家

       Tommy Emmanuel 

       トミー・エマニュエル

 

    2012.11.20

 

 アメリカのTraditional Folk Songに、娼婦に身を落とした女性が半生を懺悔する歌とされる「The House of the Rising Sun(朝日のあ(当)たる家)」という素晴らしい曲があります。

 日本ではアニマルズやディランのものが有名ですが、多くのアーティストがカバーしています。

今日は、少し時間に余裕があったので、この曲をあらためて手持ちアーティスト群による演奏で楽しみました(浅川及びちあきは「朝日楼」)。

 ただし、イギリスのJohnny Handleという歌手の音源がないのが残念です。

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 トミー・エマニュエル(1955-)は、オーストラリアのギタリスト。フィンガーピッキングの達人

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