【参考資料〜SPEEDI】 2014.10.13(月)
現在、知事選挙戦の中でも話題となっている「SPEEDI情報消去問題」に関する県災害対策本部の「取扱い状況確認結果」(24.4.20付けPDF文書)です。
改めて確認しておきます。 (消してしまったということですが、県のサーバは強固に構築されているはずなのに、専用ソフトを使って復元(復活)できないのかな?と素朴な疑問があります。ある方の関わりについて、地元財界誌にあれこれ書かれたり、県庁内でも噂されてるようです) http://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/SPEEDI_kakuninnkekka.pdf
福島第一原子力発電所事故発生当初の電子メールによる SPEEDI試算結果の取扱い状況の確認結果
平成24年4月20日 福島県災害対策本部事務局
平成23年※3月の東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故発生当初の県災害対策本部における電子メールにより受信したSPEEDI試算結果の取扱い状況について、 県災害対策本部内に保管されていた資料、県庁の電子メールサーバーの記録等の精査や、 関係職員からの聴き取り調査等、事実関係の整理を行ったが、現段階までの確認結果は 以下のとおり。
※以下、特に断わりがない限り「平成23年」を省略した。
第1章 これまでの県と国の見解 第1節 県の見解
県は、5月19日の臨時県議会全員協議会において、国からのSPEEDI試算結果 の受信について、以下の見解を表明している。
1 原子力センターにおけるSPEEDIの試算結果の受信について
特に言及なし。
2 県災害対策本部におけるSPEEDIの試算結果の受信について
・経済産業省原子力安全・保安院からファクシミリにより、3月13日午前10 時37分に、3月12日午前3時
から3月13日午前8時までの試算結果を受 信している。
・財団法人原子力安全技術センター(以下「NUSTEC」という。)から電子メ ールにより3月15日朝に同日
午前8時の試算結果を受信している。
第2節 国(文部科学省)の見解
文部科学大臣は、5月23日の参議院決算委員会において、県へのSPEEDI試算 結果の送信について、以下の見解を表明している。
1 原子力センターへのSPEEDI試算結果の送信について
NUSTECから電子メールにより3月11日23時49分に送信している。
2 県災害対策本部へのSPEEDI試算結果の送信について
NUSTECから電子メールにより3月12日23時54分に送信している。
第2章 今回の県の確認結果
第1節 原子力センターにおけるSPEEDI試算結果の電子メール受信について
1 電子メール受信の経緯
原子力センター内に設置されていたSPEEDI専用端末が震災直後から受信不 可能な状態となっていたため、
NUSTECから、以下のとおり電子メールによりSPEEDI試算結果を受信した。
表1 原子力センターにおける電子メールの受信経緯
月日 時刻 概要
3月11日 21時50分 ○ 原子力センター職員Aが、緊急時モニタリング計画を 検討するため、NUSTECに
対し電子メールによる送 信を要請。
23時48分 ○ NUSTECから同職員Aアドレス宛に送信された電 子メール(試算結果添付)を受信
した。なお、これ以後、NUSTECから原子力センターには送信されていな い。
※ 以下も含め県の送受信時刻は、県庁電子メールサーバーの送受信時刻
2 受信した電子メールの内容
3月11日23時現在の風速場、単位量放出(1ベクレル/時)に基づく3月 12日0時及び同日1時の大気中ヨウ
素濃度及び空気吸収線量率の狭域(福島第一 原子力発電所を中心に23km×23kmの区域)拡散試算結果のイ
メージ図
3 受信した電子メールの取扱い
(1)メールの開封状況
3月11日23時48分に受信した原子力センター職員Aアドレス宛の電子メ ールについては、同日23時53分
に開封した。
(2)添付ファイルの閲覧・保存
電子メールに添付されていたSPEEDI試算結果のファイルを開封・保存す るとともに印刷し、原子力セ
ンター所長まで報告を行った。
また、当時、原子力センター内にいた原子力安全・保安院職員へ提供した。 なお、当該SPEEDI試算結
果については、原子力センターから県災害対策 本部へ送付されていないが、これは、SPEEDI試算結果
は、本来、オフサイ トセンターに設置される国、県、関係町等で構成する原子力災害合同対策協議会 に
おいて検討される防護対策に活用されるものという認識であったためである。
第2節 県災害対策本部におけるSPEEDI試算結果の電子メール受信について
1 電子メール受信の経緯
県庁西庁舎8階の原子力安全対策課室内に設置されていたSPEEDI専用端末 が震災直後から受信不可能
な状態となっていたため、NUSTECから、以下のと おり電子メールによりSPEEDI試算結果を受信した。
なお、今回の調査開始までに3月16日10時以降のSPEEDI試算結果が保 存されていたことから、それ以
前の電子メールの受信状況を調査対象とした。
表2 県災害対策本部における電子メールの受信経緯
月日 時刻 概要
3月12日 3時38分 ○ 県災害対策本部事務局職員BがNUSTECに対し電 子メールによる送信を要請(災害
対策課代表アドレスで 空メールを送信)。
23時54分 ○ NUSTECから災害対策課代表アドレス宛の電子メ ール(試算結果添付)を受信し
た。
その後、同職員Bは、受信した電子メールを同職員C の個人アドレスに転送した。 さらに、電子メール受信を 同職員Cに伝えた(時刻未詳)。
3月13日 0時49分~ 23時43分 ○ NUSTECから災害対策課代表アドレス宛の電子メ ール(試算結果添
付)26通を受信した。
受信した電子メールのうち24通は同職員Cの個人ア ドレスに、また1通は同職員D に転送された。
3月14日 0時47分~ 23時41分 ○ NUSTECから災害対策課代表アドレス宛の電子メ ール(試算結果添
付)24通を受信した。
○受信した電子メールのうち18通は原子力安全対策課 代表アドレスに、また、14通
は同職員Cの個人アドスに転送された。
3月15日 0時35分~ 10時32分 ○ NUSTECから災害対策課代表アドレス宛の電子メ ール(試算結果添付)11
通を受信した。
受信した電子メールのうち11通は原子力安全対策課代表アドレスに、また11通は
同職員Cの個人アドレスに転送された。
11時38分~ 23時57分 ○ NUSTECから原子力安全対策課代表アドレス宛の電子メール(試算結果 添付)13通を受信した。うち宛先に同職員Cのアドレスを並記したもの13通、宛先 に同職員Dのアドレスを並記したもの3通。
23時36分 ○ NUSTECから同職員C及びDのアドレス宛の電子 メール(試算結果添付)1通を受信し た。
3月16日 0時31分~ 9時45分 ○ NUSTECから原子力安全対策課代表アドレス並び に同職員C及びDのア ドレス宛の電子メール(試算結果添付)10通を受信した。
2 受信した電子メールの内容
今回調査した3月12日から16日10時までに受信したSPEEDI試算結果 86通の内容は以下のとおり。(別
表受信メール一覧参照)
表3 県災害対策本部で受信した電子メールの内容
No 項目 概要 電子 メール数
1 単位量放出に基づく 1、2時間後の試算 結果
○ 3月12日23時から3月16日7時まで単位量 放出に基づく1時間後及び2時間後の大気中ヨウ素濃度及び空
気吸収線量率の狭域拡散結果のイメージ 図。
なお、3月12日23時から3月13日9時まで は福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所について
の試算結果が送信された。また、3月13 日10時から3月16日7時までは福島第一原子力発電所のみの試算
結果が送信された。
81
2 単位量放出に基づく 1~3時間後の試算結果
○ 3月16日8時から9時までの単位量放出に基づ く1時間後、2時間後及び3時間後の大気中ヨウ素 濃度及び
空気吸収線量率の広域(福島第一原子力発 電所を中心に92km×92kmの区域)拡散結果 のイメージ図
2
3 3号機仮想事故時放 出量に基づく試算結果
○ 福島第一原子力発電所3号機で3月13日8時か ら1時間で仮想事故時の想定放出量(希ガス2.0 ×1014ベクレ
ル、ヨウ素6.6×1014ベクレル)が放出された場合の外部被ばく実効線量及び吸入による甲状腺被ばく等価
線量の狭域拡散結果 (3時間後までの積算値)のイメージ図
1
4 単位量放出に基づく 広域拡散結果
○ 3月12日13時から19時まで単位量放出が継続した場合の1時間毎の大気中ヨウ素濃度の広域 (福島第一原 子力発電所を中心に92km×92k mの区域)拡散結果のイメージ図
1
5 2号機仮想事故時放 出量に基づく試算結果
○福島第一原子力発電所2号機で3月15日19時 1 から24時間で仮想事故時の想定放出量(ヨウ素6. 6×1014ベ
クレル)が放出された場合の地表蓄積量(ヨウ素)の広域拡散結果(24時間後までの積算値)のイメージ図
電子メール数合計 86
3 受信した電子メールの取扱い
(1)電子メールの開封状況
表4 電子メールの開封状況(県災害対策本部受信分)
No 開封状況 電子メール数 摘要
1 開封されたもの 83 a
うち開封後転送されたもの 62 c
うち開封後転送されなかったもの 21 d
2 開封されなかったもの 3 b
1+2(調査対象メール数) 86
※ 摘要は別紙「NUSTECから送信された電子メールの取扱い状況」における(a) ~(o)を示す(表5において
同じ)。
(2)添付ファイルの閲覧・保存
表5 添付ファイルの閲覧・保存状況(県災害対策本部受信分)
No 閲覧・保存状況 電子メール数 摘要
1 転送された添付ファイルが閲覧されたもの 54 e
うち残存記録が有るもの 21 i
うち残存記録が無いもの 33 j
2 転送された添付ファイルが閲覧されなかったもの 8 k
3 転送されなかった添付ファイルが閲覧されたもの 18 g
うち残存記録が有るもの 0 l
うち残存記録が無いもの 18 m
4 転送されなかった添付ファイルが閲覧されなかったもの 3 n
1+2+3+4(開封分) 83 a
以上を図示したものを別紙に示した。
4 受信した電子メールの消失原因の推定
3月12日23時54分から3月16日9時45分まで電子メールで受信したS PEEDI試算結果86通のうち65通
のデータを組織内で情報共有することなく 消失させた原因及び背景としては、以下のようなことが推定
される。
①県災害対策本部におけるSPEEDI試算結果の取扱い規定の不備 本来、県災害対策本部が単独でこれら
の情報を入手し、防護対策の検討に活用する ものではないことから、受信した電子メールの取扱いにつ いて明確に定められていなかった。
※ SPEEDI試算結果の本来の活用法
オフサイトセンター内に設置される国、県、関係町等で構成される原子力災害合同対策協議会におい て、モニタリング結果やSPEEDI試算結果などに基づき、避難などの防護対策を協議する。 こうした協 議結果を踏まえ、国の原子力災害対策本部長 又は現地対策本部長が意思決定を行う。
②県災害対策本部における組織対応の不備
県災害対策本部事務局設置当初は、喫緊の対応に迫られる中、指揮命令系統が必ずしも明らかになっ ていなかったことから、本来、部下は国から入手した情報を共有し 上司に報告するとともに、上司は部 下にその取り扱いについて適切に指導・監督するべきであったにもかかわらず、組織としてそうした対応 が徹底されていなかった。
③電子メール受信容量の制約
県災害対策本部職員C及びDは、次々と送信される重要な情報を迅速に収集する必要があったこと、ま た、SPEEDI試算結果は、システムが復旧すればいつでも入手できるという認識があったことから、電子 メールの受信容量を確保するため、過去の情報を削除した。
第3節 電子メールの受信開始時期等に係る調査の経緯について
4月1日13時からは、NUSTECより、毎時、単位量放出に基づくSPEEDI 試算結果が専用端末へ配信され ることとなったが、それまでの間の電子メールによる受 信開始時期が明確でなかったことから調査を
行ったところ、その経緯は次のとおりであ る。
① 3月12日23時54分にNUSTECからの電子メールを最初に受信した県災 害対策本部事務局職員Bから受信 業務を引き継いだ同職員Cは、受信した電子メー ルを上司である同職員Eに報告したとの記憶があるもの の、同職員Eは、業務が多忙であったこと等により、報告を受けた記憶があいまいであった。
②同職員Eは、NUSTECに電子メールの送信開始時期について照会し、原子力 センターに対しては3月11 日に、県災害対策本部事務局に対しては3月12日に それぞれ送信を開始したとの回答を4月19日に得た が、同事務局の送信先とされ る受信者の姓(同職員Bの姓)に心当たりはなかった。
③同職員Eは、念のため、情報システム課にNUSTECからの電子メールの開封状況について照会し、
NUSTECから同職員Bの姓宛の電子メール受信・開封は 確認できないとの回答を5月4日に得たことか
ら、NUSTECからの電子メール受信は確認できなかったものと判断した。
④同職員Eは、再度情報システム課にNUSTECからの電子メールの受信状況について照会し、NUSTECか ら災害対策課代表アドレス及び原子力安全対策課代表アドレスへ3月12日から3月15日にかけて定期的に 電子メールの受信が確認 できたとの回答を5月6日に得たが、受信したSPEEDI試算結果が記録として 保 存されていることが確認できなかったことから、受信したという確証は得られな かった。
⑤同職員Eは、5月19日の臨時県議会全員協議会までの間に、同事務局長(生活環境部長)及び同次長に対し て、SPEEDI試算結果について、記録として保存されている最も早いものは、原子力安全・保安院から
ファクシミリで送付された3 月13日10時37分に受信したものであるとの報告を行ったが、その際、上記の 2、3、4については、報告されなかった。
⑥5月23日に当時の県の見解と異なる文部科学省見解が表明されたことから、同 事務局長及び同次長は、 事実関係の調査を行うこととし、5月26日までには改め てNUSTECからの電子メールの受信状況を確認
し、電子メールサーバーに受信 記録が残っていることを認識していたが、業務多忙等により電子メール の取扱い状 況の詳細調査に着手していなかった。
第3章 これまでの県の対応の問題点
今回の確認の結果、電子メールにより受信したSPEEDI試算結果の取扱いに係る 県の対応の問題点は次のとおりと考えられる。
1 県災害対策本部事務局におけるSPEEDI試算結果の情報共有不足
同職員C及びDは、NUSTECから送信されたSPEEDI試算結果の取扱い について明確に定められていな かったこと等からその一部を削除するに至った。
同職員C及びDの上司である同職員Eが、同職員C及びD等がこれらの情報を閲 覧保存していたことや削 除していたことを知り得る立場にありながら、職員間の情報共有や上司である同事務局長及び同次長へ の報告を怠った。また、同事務局長及 び同次長は、SPEEDI試算結果の取扱いについて適切な指示を行っ ていなかっ た。
このため、5月19日の臨時県議会全員協議会の答弁において、生活環境部長は、 電子メールの取扱い状 況を精査することなく、確認できた記録のみに基づき見解を表明した。
2 県災害対策本部事務局における県と国の見解相違に係る詳細調査の懈怠
同職員C、D及びEを管理監督する立場にある同事務局長及び同次長は、5月 23日以降に県と国の見解に 相違があることを認識していたにもかかわらず、長期 間にわたり電子メールの取扱い状況の詳細調査を 怠った。
このため、県民の疑念を増幅させることとなった。