【Jobs氏を偲ぶ】 2011.10.22(土)
まだSONYの「WALKMAN」が全盛期にあった20世紀の末頃、当時、駅ビルにあった家電量販店で、私はMP3プレーヤーの展示ブースを、毎週のように訪れては眺めていた。 「これ、欲しいな」と思いつつ、しかし、PCとの連携の仕方もよく分からず、駆体のデザイン(確かRioというブランドだったような気がする)も野暮ったく、購入に結びつくことは、ついぞなかった。 何かが足りない、物足りない・・そんな鬱屈した思いをずっと抱きながら、年月を経た21世紀最初の年の11月、Appleから「iPod」が忽然と姿を現した。それも、「iTunes」という自在道具を引き連れて。
これだ、これだったんだ、いま直ぐに欲しい・・・俄然、購入意欲が湧いた。しかし、・・・金がない。その1年ほど前、黒のPowerBook G3 FW(Pismo)を27万円ほどで手に入れたばかりだったし、“我が妻との闘争”にも、とうてい勝てそうになかったからだ。 ようやく手に入れたのは3年もたってからだった。現物を手に入れた途端、私の脳裏にある記憶が蘇り、そして閃きが起こった。それは・・・。 ・・・その昔、70年代に「赤井電機」というオーディオメーカーから「オープンリール+カセット+8トラック」というトリプル駆動の画期的なテープデッキが発売されていた(カセットは兎も角、オープンリールとか8トラックなどという言葉は若い人には分からないだろうが・・) そのことを思い出し、私は、iPodにも、いろんな機能を持たせられないか・・・・・例えば、音楽プレーヤー機能だけでなく、これにカメラ、録音、電話、テレビ、計算機、カレンダー、メモ、ゲームなど、考え得るありとあらゆる機能をワンパックで盛り込められないか・・・。そう思ったのだ。 我ながら、今更にして先見の明があったと思う。 しかし、そんなことは、とうの昔に 「Steven Paul Jobs」 という天才の頭の中にあったらしい。 さすが、Inspirationの人、Visionary。 彼のInspirationは、やがてiPhoneとなり、iPadとなり、現世に姿を現したー自分が考えたことの何万倍もの機能を装備して。そしてそれらは今、・・・私の掌中にあり、私のLifestyleを変えている。 彼が2001年に予言し、予定した「“Digital Hub” Strategy」 は、10年を経て、iCoudというToolによって、完成した。残念ながら、それも彼の死と引き替えに。 ・・・・10月19日、クパチーノのApple本社で、後継CEOのTim Cook、Vice President の Al Gore(私が2000年に米国国務省本館を訪れたときの副大統領)やChief DesignerのJony Iveら役員とJobs Spiritを引き継いだ多くのApple 社員により、追悼式典が開かれたという。 改めて想う。1を2にするのは容易いかもしれない。しかし、0を1にした彼の功績はとてつもなく大きいということを。 Apple Pageに寄せられたという100万人以上の追悼メッセージを眺めながら、今はただ、合掌するばかりだ。