【OneNote vs. Evernote】2014.5.1(金)
Microsoftの『OneNote for Mac』が無料で配布されているのでインストールして使ってみたが、まだまだWindows版に比べて機能が貧弱だ。 Evernote Corporationの『Evernote』のほうが優れている。 アップデートに期待するしかないか。 http://www.lifehacker.jp/…/04/140430onenote_vs_evernote.html
メモアプリ対決! OneNote vs. Evernote
今や、Microsoftの『OneNote』は、Mac版、Windows版ともに無料となりました。これで、この愛すべきメモアプリが抱えていた「お金とプラットフォームに関するバリア」がなくなったことになります。では、OneNoteは米Lifehacker読者お気に入りの『Evenote』と比べてどうでしょうか? 今回はこの2つのメモアプリの特長を比較してみます。
以下、メモアプリの主要な用途である、ノートの作成、ウェブの情報の保存、外出先でのメモ(モバイルアプリの使用感)について比較してみました。
ノートの作成:2つのまったく異なるアプローチ
OneNoteとEvernoteは同じ目的を共有しています。すべてのアイデア、ウェブページ、ドキュメントを1箇所に集めて整理することです。また、ウェブクリッパーや、OCR、デバイス間の同期、サードパーティツールとの連携など、提供する機能もほぼ同じです。
このように、一見は似通ったツールのようです。しかし、この2つのアプリのアプローチには大きな違いがあります。次の画像を見てみてください。1枚目は私がこの記事を書くためにOneNoteでブレインストーミングをした場面。2枚目は同じことをEvernoteでしたものです。
OneNoteは優れたデジタルノートブック
OneNoteは「デジタルノートブック」をうたっており、ノートをカラフルなタブ付きセクションで整理できます。紙のノートみたいに、文章や画像、表などをページの好きな場所に追加できます(横に並べることも)。また、書式の設定も『Word』と同じくらい簡単。メニューにクイックスタイルの書式設定ツールを備え、書式のコピーと貼り付けが可能な「書式ペインター」もあります。また、ノートごとに(ノートというよりはページなのですが)背景色、グリッド、ページサイズなど、見た目のカスタマイズも可能。テンプレートも適用できます。
ほかにも、OneNoteは、参考資料や調べるための検索パネルや、シソーラス、スペルチェッカー、翻訳機能などの各種ライティングツールを搭載しています。ノートを小さなウィンドウで開いておいて、ウェブサーフィン中にさっとメモをとることも可能。
Windows版のデスクトップアプリなら、ノートの中に絵を描いたり、手書き文字を入力することもできます(残念ながらMac版では不可。もっともMacにはタッチスクリーンのマシンがありませんが)。
さらに、OneNoteではノートブックごとに表示・非表示が選択可能。これで見た目もスッキリします。また、ノートに「サブページ」を作ることも可能。ノートを階層化できて便利です。
紙のノートみたいにビジュアルに凝りたいときは、OneNoteのパワフルで柔軟な書式設定機能が大活躍します。また、ブレインストーミングや、長文ドキュメントの作成にも向いています。
Evernoteは優れたデジタルファイルキャビネット
一方、Evernoteは「デジタルファイルキャビネット」と言う方が近いでしょう(Evernoteのスローガンは「全てを記憶する」です)。インターフェースはシンプルで、他のスタイリッシュなツールに比べて、より簡潔なノートを作成できます。
スタイリングが弱い分、Evernoteは情報マネジメントに力を注いでいます。ノートの作成からタグ付け、共有までがあっという間に完了。OneNoteならノートを共有するだけでも手間がかかります(右クリックでページリンクをコピーするか、Eメールボタンを使う)。また、Evernoteは「ノートの作成場所」などメタデータも自動で付加してくれます。
Evernoteはノートブックのメタファーが使われていますが、どちらかというと「何でも保存できるデータベース」に近いといえます。ノートを探すときには、タグやノートブックによるフィルタリングだけでなく、Google検索も使えます。つまり、EvernoteはOneNoteに比べて過去情報の検索が簡単です。
また、Evernoteの「ウェブクリップ」と「メール投稿機能」もOneNoteより優れています。これらの機能のおかげで、「ランダムに情報を集めて、後から検索する」というEvernote特有のスタイルが可能となっています。
ウェブクリッパーやサードパーティとの連携:Evernoteが明らかに先行
OneNoteの無料化に伴い、待望の「ユニバーサルなウェブクリッパー」がリリースされました。これまでもInternet Explorerでページ全体をクリップしたり、他のブラウザからOneNoteへバーチャルに印刷出力することは可能でした。それでも、Evernoteの素晴らしいウェブクリッパーに比べれば全く不便でした。また、これまではできませんでしたが、OneNoteでは最近、「me@onenote.com」を使ったメール投稿も可能となりました。
OneNote新しいウェブクリッパーとメール投稿機能を使えば、ウェブページやメールの保存が劇的に楽になります。とはいえ、Evernoteに比べればまだまだです。
OneNoteでウェブクリップした記事はすべて、デフォルトノートブックの「Quick Notes」セクションに保存されます。別のノートブックや別のセクションに保存したい場合は、あとからクリップを移動する必要があります。また、OneNoteではクリップしたページが画像としても保存されます。画像はOCR処理がなされ、テキスト検索が可能となります。ただし、テキストの選択やコピーはできません。
一方、Evernoteのウェブクリッパーでは、記事本文だけをクリップできるほか、テキストの一部をハイライトしたり、保存先のノートブックを指定したり、クリップに複数のタグをつけたり、リマインダーを追加したりなどが可能。至れりつくせりです。
メール投稿機能にも同じことが言えます。OneNoteの新しいメール投稿機能は便利ではありますが、機能不足の感は否めません。Microsoftアカウントを有効にすればme@onenote.comにメールするだけでOneNoteに記事を送れます。でも、それだけです。Evernoteなら、件名にさまざまな情報を付加することで、タグや保存先などを指定できます(@Notebookで保存先のノートブックを指定。#tagでタグを指定)。
誤解しないでほしいのですが、OneNoteの新しいウェブクリップとメール投稿機能がダメなわけではありません。どちらも素晴らしい機能です。たまにウェブページやメールを保存するだけなら十分に使えます。ただ、Evernoteは(歴史が長い分だけ)より洗練された便利な機能が揃っているということです。
OneNoteはサードパーティのアプリとも連携します。記事をウェブサイトからOneNoteに送ったり、テキストメッセージをIFTTT経由でOneNoteに送ってページを作成することもできます。また、LiveScribe、News360、Feedlyなどを含むサードパーティアプリとも連携します。
一方、Evernoteは、もとから開発者向けのAPIを備えたウェブサービスとしてスタートした経緯があり、より多くのアプリと非常にうまく連携します。Evernoteで自分専用の生産性ツールを構築することだって簡単です。
結論。OneNoteはがんばっていますが、プログラムの拡張性や、生産性アドオンの充実度に関してはまだまだです。
モバイルアプリ:Evernoteの方がよりデスクトップに近い体験を提供する
OneNoteのモバイルアプリは、まあ「それなり」です。開発者たちが「モバイルアプリに必要な機能はこれとこれとこれ、あとは捨ててしまおう」と話し合った感じ。一方、Evernoteのモバイルアプリの開発者たちは「モバイルのインターフェースに合わせてアプリをカスタマイズしよう」と検討を重ねたと思われます。この2つの視点は大きく異なります。Evernoteのモバイルアプリはデスクトップアプリと遜色ない機能を持っています。一方、OneNoteのモバイルアプリはデスクトップに比べてかなり機能が制限されます。
Androidウェジェットに関していえば、どちらもそっくりです。OneNoteはノートブックやノートをホーム画面にピン留めしたり、最新のノートを表示させたり、テキストや写真、音声メモを素早く作成する機能があります。
Evernoteのモバイルアプリは、ノートを別のノートブックに移動したり、ノートにタグ付けしたり、メールやほかのアプリを介してノートを共有したり、リマインダーのセットなどが可能。一方、OneNoteのモバイルアプリでは、写真、音声、テキストのノートを追加できるだけです。ノートの整理やシェアはデスクトップで行う必要があります。
OneNoteのモバイルアプリは、単純にノートを作成したり閲覧するには十分に使えます。しかし、モバイルでメモアプリをよく使うひとや、デスクトップアプリと同等の機能が欲しい人はEvernoteが向いています。
その他の検討事項
ここまでの比較ではEvernoteの圧勝に見えます。上記のような主要機能においてはその通りです。しかし、人によっては別のポイントが価値を持つこともあります。以下、それぞれの長所をもう少し詳しく見ていきましょう。
OneNoteのほうが優れている点
OneNoteはWindowsに統合されている。「Win+N」で、OneNoteの中に付箋のようなメモを作成できます。タッチスクリーンのWindows PCで実行すれば、OneNoteはタッチフレンドリーなUIに切り替わります。
OneNoteはMicrosoft Officeと強力に連携する。Outlookでリマインダーをセットしたり、社内のSharePointでノートの共有などが可能(こちらは有料版のみ)。さらに、WordやExcel、Visioのドキュメントをノートに埋め込んだり(OneNoteから編集も可能)、クリック2回でOutlookからOneNoteに会議の詳細を挿入できます。米LHの読者がOneNoteをベストな議事録サービスに挙げている理由のひとつがこの機能です。
OneNoteはページの一部にタグ付けできる。例えば、箇条書きの個々の項目に別々のタグを付けることも可能です。
OneNoteのコラボレーション機能はEvernoteより充実している。更新者の名前を確認したり、執筆者のコメントを見ることが可能。有料版なら、さらに充実したノート共有機能や、変更履歴機能が使えます。
ドラッグ&ドロップで、ファイルをOneNoteの埋め込みオブジェクトにできる。OneNoteに書類をドラッグすれば、添付ファイル、もしくは埋め込みオブジェクトとして挿入できます。一方、Evernoteでは、添付ファイルにできるだけです。
OneNoteのノートはさまざまな形式でエクスポートできる。OneNoteの独自フォーマットで出力できるほか、複数のセクションやページを、まとめてPDFやWord、HTMLに変換することも可能。一方、Evernoteは、個別のノートをEvernoteの独自フォーマットで出力するか、XML、もしくはHTMLに変換できるだけです。
Evernoteのほうが優れている点
Evernoteはリマインダーをセットできる。OneNoteでもできますが、Outlookが必要です(OneNoteを使うときにOutlookを開いておく必要もある)。Evernoteなら、リマインダーがデフォルトで搭載されています。
Evernoteの共有機能はより強力。ノートをメールやURLだけでなく、FacebookやTwitter、LinkedInを通じて共有できます。
Evernoteは任意のノートの任意のテキストを選んで暗号化(パスワード保護)できる。OneNoteはノートブックセクションをまるごと暗号化できますが、有料オプションです。Evernoteなら、テキストを選んで右クリックするだけで暗号化できます。
結局どっちを使えばいい?
EvernoteとOneNoteから選ぶのは、EvernoteとSpringpadから選ぶのと似ています。どちらも(あるいは3つとも)同じカテゴリーに分類されるアプリですが、完全に競合するわけではありません。
実際、OneNoteはまだEvernoteに追いついていません。ようやくクロスプラットフォームが実現したところです。とはいえ、OneNoteユーザーがこのアプリを熱烈に支持してきたのには理由があります。それは、OneNoteのビジュアルインターフェースと強力な書式設定機能です。ブレインストーミングや、ビジュアルなノートの作成には最適なアプリです。
もちろん、メモのスタイルはひとつではありません。自分のニーズに合わせて選ぶか、両方を試してみてください。きっとこの2つのアプリが共存する道が見つかるでしょう。