【読売、産経の“トンデモ誤報”集】 2014.9.12(金)
朝日謝罪会見でハシャぐ読売、産経の“トンデモ誤報”集 我々がほんとうに追及すべきなのはいったい誰なのか…と。歴史の歪曲を画策しているのは誰だ、私たちは騙されない!
mimiの日々是好日
2014.9.12
こいつら、恥というものを知らないのか。朝日新聞・木村伊量社長の謝罪会見を見ていて、思わずこんな台詞が口をついて出た。断っておくが「こいつら」というのは壇上で頭を下げていた木村社長や朝日の幹部のことではない。朝日を追及していたマスコミ、とくに読売新聞、産経新聞のことだ。 この日の2時間にわたる会見で読売、産経の記者は全質問の実に4分の1もの数の質問を商売敵の朝日に浴びせ続けた。だが、その質問のほとんどはネットスラングでいうところの“ブーメラン”というヤツだった。 読売「御社には自発的に物事を検証する能力がないのではないか。自浄能力がないのではないか。そのことを社長はどうお考えか」 はあ? じゃあ聞くが、渡辺恒雄会長の政界との癒着を放置し、巨人軍の裏金問題や暴力団疑惑にほおかむりし、部数水増しの“押し紙”内部告発を封じ込めてきたオタクの会社に自浄能力はあるのか。 産経「都合のいい方にねじまげる吉田調書の報道は、慰安婦報道と同じではないのか」 おいおい、「都合のいい方にねじまげる」常習犯はオマエたちの新聞だろう。産経は今年5月、安倍首相がアジア安全保障会議でスピーチした際、「靖国参拝発言」で会場が「拍手に包まれた」と報道した。ところが、ネットの指摘で拍手があったのは靖国発言でなく「ひたすら平和国家としての歩みを進めてまいります」という発言後だったことが発覚。政治的プロパガンダのために平気で事実をねじまげる体質が失笑をかったのではなかったか。 別に朝日の肩を持ちたくてこんなことをいっているのではない。今回の朝日の記事は従軍慰安婦の吉田証言も、福島原発事故の吉田調書の記事も明らかな誤報だ。だが、冷静に考えてみてほしい。このレベルの誤報なら会見会場にいたすべてのマスコミがやっていることだ。もちろん読売と産経もやっている。 たとえば、読売新聞は2012年10月、ハーバード大学研究員の森口尚史氏が「iPS細胞を使った世界初の心筋移植手術に成功」と一面で大々的に報道したが、後に研究の内容も森口氏の肩書きもすべて嘘だったことが発覚した。これなどは吉田証言に騙された朝日とそっくりではないか。 他にも、宮崎勤事件で存在しない宮崎のアジトを発見したと報道したり、福岡の広域暴力団工藤会のガサ入れ報道で存在しない押収書類をでっちあげたり、まさに誤報の山を築いている。 また、読売は福島原発の事故報道をめぐっても誤報をおかしたことがわかっている。2011年5月、一面トップで当時の菅直人首相が「海水注入中断」を命じ「震災翌日、55分間」の中断があったと報じたが、これを命じたのは東電の武黒フェローだったことが吉田調書から判明したのだ。しかしこの件について、読売は謝罪はおろか、何の説明もしないまま未だ無視し続けている。 産経も同様だ。2011年7月には中国の江沢民前国家主席が死去したとの大誤報を犯している。この記事については当初から誤報の可能性が強く指摘されていたが、産経はそれを認めようとせず、10月に氏が公式行事に姿を現してようやく誤報を認めた。しかも、この時に発表した「誤報の経緯」に明らかな矛盾があり、虚偽の説明をしていたことが発覚している。 2012年7月には、東京23区で行われた陸上自衛隊の総合防災演習をめぐってとんでもないでっちあげまで行っている。このとき、産経は23区のうち11区が市民グループから『自衛隊に区の施設を使わせるな』との申し入れを受けて、自衛隊を拒否していたと報道。7区の担当職員が演習に立ち会わなかったと名指しで批判した。さらに翌日の「産経抄」でもこのことに触れ、「迷彩服をなぜか受け入れられない人の存在は、承知している。まさかそんな一部の声に配慮するあまり、首都直下地震に向けた自衛隊の訓練をないがしろにする防災担当職員が、東京都内の区役所にいるとは」などと記した。 ところが、これに対して、11区の自治体が抗議文を送り、実際には立ち入りも認めたうえで立ち会いにも応じており、報道とは異なると強く主張。産経新聞は「おわび」の記事を出すとともに、同日の産経抄でも訂正と謝罪をおこなったのだが、その文面はなかなか興味深い。 「記者生活ウン十年、これまでも数多くのミスを重ねてきた。ミスの最大の原因は『思い込み』だ。今回の場合、迷彩服姿の自衛隊員が行う訓練に対して、一部に批判的なムードがあるのは事実だから、区役所の非協力もあり得ると、納得してしまった」 産経新聞は自衛隊への「批判的ムード」を攻撃するために存在しない“左翼市民グループ”を空想してしまったらしい。これではまるで陰謀論好きのネトウヨではないか。 いずれにしても、とんでもない誤報を繰り返しているのは読売や産経も同じなのだ。そして、誤報発覚後もやはり朝日と同じように、その間違いをぎりぎりまで認めなかったり、認めても虚偽の経緯説明をするなど、狡猾な隠蔽工作を行っている。 にもかかわらず、読売、産経は自分たちのことを棚に上げ、官邸や右派グループと組んで、この朝日叩きを大々的に仕掛けたのだ。 もちろんメディアが誤報を犯したらきちんと訂正・謝罪するのは当然のことだ。しかし、この程度の誤報で「世紀の犯罪」を犯したかのように報道機関を袋だたきにして、「社長の辞任」や「過去の社員の処罰」まで求めるのは明らかにおかしい。報道には誤報がついて回るものであり、こういう過剰反応の前例をつくることは、現場を萎縮させるだけだろう。 こういうと、「朝日の場合は国際社会で日本人の誇りを傷つけたのだから、断罪されて当然だ」という声があがるかもしれない。しかし、それなら読売、産経のほうがずっと罪は重い。なぜなら、彼らこそがあの福島原発事故を引き起こした戦犯だからだ。 日本の原発導入の立役者だった正力松太郎がオーナーだった読売新聞と、財界右派の意向を受けて誕生した産経新聞は、1970 年代から原発推進の旗ふり役をつとめてきた。マスコミ各社の中でも突出した量の広告を電力会社からもらい、紙面では安全神話を喧伝し、反対運動潰しの論陣をはってきた。原発シンジケートの一角を占めていたマスコミの中でも、彼らは最大の戦犯なのだ。 たとえば、1986年のチェルノブイリ事故の直後の読売の紙面を読んでみると、社説で主張していたのは「我が国の安全対策に変更を迫るほどのことはなかった」「資源エネルギーに恵まれない日本は、技術エネルギーの開発で、世界に貢献しようではないか」という信じられないような楽観論だった。 また、1996年、巻町で原発住民投票が実施されることになった際、産経新聞は反対運動を「本当に「自治」を貫くなら電力会社からの送電を拒否して自前で発電設備を備えるくらいの気構えが求められる」と脅し、「反対をあおる勢力が「政府の原発政策を見直させよう」というのは日本の国際信用をおとしめる意図があるとしか思えない」と、テロリストよばわりまでしている。 さらに、JCO東海村で日本初の臨界事故が起きた時の産経新聞の社説のタイトルは以下のようなものだった。 「初の臨界事故 徹底的に原因究明はかれ 原発否定の口実にさせるな」 こうした安全神話垂れ流しと反対派つぶしの果てに、あの福島原発事故が起きたのだ。何十万人もの人の故郷を奪い、放射能汚染で自然環境を破壊し、何十年、いや何百年かかっても処理できないような大量の核のごみを作り出した。東電社員の退避や強制連行の有無というレベルの誤報とどちらが罪深いか、火を見るより明らかだろう。 しかも、読売と産経は今、安倍官邸と完全にタッグを組んで、吉田調書の本質を朝日叩きの問題にすりかえようとしている。そして、朝日のシェアを奪って自社の新聞の拡販のために、従軍慰安婦問題を意図的にエスカレートさせようとしている。 我々がほんとうに追及すべきなのはいったい誰なのか。ぜひ冷静に考えてみてほしい。 http://lite-ra.com/2014/09/post-454.html