【クロ現放送と事情聴取=どちらが深刻だ?】2015.4.28(火)
NHK「クロ現」で「過剰な演出」があったと先ほど謝罪番組。 「過ちては改むるに憚ること勿れ」というが、その限りにおいて、調査結果を公表したことは一定の評価をしたい。
だが、調査委員長はなんと、テレ朝の福田俊男専務と共に、17日、自民党情報通信戦略調査会の事情聴取に応じたあの堂元光副会長。
政権与党による圧力、介入、恫喝とさえいわれ、池上彰氏が「自民こそ放送法違反」と批判したように、テレビジャーナリズムの危機を指摘する声も出ていた中、要請に抗議し若しくは断固出頭拒否をすべきところ、同じ人間が、求めに応じてノコノコと出かけたことのほうが、よっぽど事態は深刻だとは思わないのだろうか。
「クロ現」で、「過剰演出」については語っても、「事情聴取」の件について堂本氏が一言も発言がなかったのは、NHKにとって実に危機的な事態だと認識すべきだ。
「過剰な演出」多数でも「やらせ」ではない
NHK「クロ現」報告は納得できる内容なのか
J-CASTニュース 2015/4/28
NHK報道番組「クローズアップ」現代に「やらせ」があったとされる問題で、NHKは2015年4月28日、調査委員会(委員長・堂元光副会長)による調査報告書を発表した。取材を担当した大阪放送局の男性記者(38)の停職3か月を筆頭に、大阪報道局・報道局専任部長の減給など計15人の処分が決まった。籾井勝人会長(72)ら役員4人も報酬の一部を自主返納する。
「クロ現」をめぐっては、番組内で「ブローカー」として紹介された男性A氏(50)が「記者からブローカーを演じるように言われた」ことなどで「真実と違う報道で人権を侵害された」として4月21日に放送倫理・番組向上機構(BPO)に審理を申し立てている。報告書では「やらせ」を含め、A氏の主張の多くを否定したが、それ以外の「過剰な演出」が多数指摘されている。
ブローカーと断定するには「裏付け不足」
問題とされたのは、14年5月14日に放送された「追跡『出家詐欺』~狙われる宗教法人~」。多重債務者がブローカーを通じて出家し、名前を変えることで多重債務者であることを分からないようにして金融機関から不正に融資を受ける手口に迫る内容だ。14年4月に関西ローカルの「かんさい熱視線」で放送された内容をベースにしている。
報告書によると、「事情通」として記者と付き合いがあるB氏に対して記者が「出家詐欺に詳しい人物はいないか」と相談を持ちかけ、B氏は「自分自身が近く出家の相談に行くつもりだ」としてA氏を紹介した。B氏は多重債務者だ。記者は相談の様子を撮影したいと考え、B氏経由でA氏にも了承を得た。番組ではA氏に「ブローカー」とテロップが入ったが、この点をA氏は「自分はブローカーではなく、記者に演技するように依頼された」と最も問題視している。
この相談の様子は、19分間にわたって映像素材に残っていた。報告書によると、記者がA氏と会うのは2回目。撮影前に記者、A氏、B氏の3人が合流し、タクシーで撮影現場に向かう途中で30分程度カフェに立ち寄っている。こういったことから、
「以前に一度しか会っていない相手にいきなりブローカーを演じさせるのに、この程度の時間で打ち合わせが済むとは考えられない」 「A氏は、自身のそれまでの知識や体験に基づき、演技の指導などを受けることなく出家詐欺の手口を詳細に語ったと考えるのが妥当である」
と結論づけている。こういったことを根拠に「やらせ」は行われなかったと判断されたが、ブローカーに近い人物や関係者という水準を超えて「実際の『ブローカー』であると断定し放送でコメントするには、それ以上の裏付けがなければならない」と、裏付け取材不足を指摘した。